黒髪の相柳こと、防風北の登場で小夭も塗山景もソウゲンも心かき乱されますが、それぞれの思惑は別です。(相柳とはまだ、誰も知らないけど、ずっとバレないのかな?)
景ははっきりと恋のライバル登場と認識していますね。
小夭と北が地下格闘場の帰りに防風意映と景と出くわすシーンで、身の置き所のない情けなさ一杯の景。中の人のドン・ウェイ、とても上手かったですよ。
このありがちなクズ男をこれだけ爽やかに魅力的にしているのはこのドン・ウェイの魅力に他ならないと思っています。
これだけの爽やかイケメンじゃ無かったら、このお話は成り立たないですから。不細工が嫉妬で悶々としても気持ち悪いだけ。
ところでこの場で初めて、景は黒相柳こと防風北と対面するわけですが、初回からKO食らってます。
自分と小夭ではまだ恋人らしき事は何もこなしてないわけですから、仕方がないですけど、後から現れた北とこの小夭の醸し出す大人なアバンチュール感に、すっかり打ちのめされています。
婚約者連れで嫉妬をする資格もないし。二兄と呼んでくれなどととどめを刺されます。
全てにおいて男として負けてる感が満載。
小夭の身辺調査のために放っていたスパイから新しい男と昼夜問わず至る所で遊び歩いていると聞き、きっと、小夭を問い詰めるつもりですっ飛んできたのだろうけど。
夜目にも分かる美貌と大人のエロチズム、しかも婚約者の兄という自分を断罪出来る立場を持つ。
また、防風一族と言う事で高位の霊力者で弓の最高レベルの達人である事も見て取れる。
小夭が女として惹かれるのも分かりすぎる。
それに比べて、自分は金持ちと言う事だけ。
そこで、発奮してソウゲンのチカラとなる事で自分の価値を高めようとします。
恋は人を成長させますね。
しかし、それも塗山家の力であり自分の力でないことはよく分かっています。ここら辺も偉いよ。
と、まあ母親目線になってしまいますが、小夭も同じで。
お守り待って会いにきた時に、思わず恋愛指南までしてしまいます。
あの海中でも息が続くと言うお守り。兄の候が船遊びの時潜って取って来たのをみて塗山商事で同じものを探させた物。いや、自分が持ってた物かも。龍骨獄の浜辺で小夭を待っていた時、水没してたもんね。狐は犬掻きぐらいしかできんだろうから、お守り持っていたに違いない。
一日水中で息が続くのを検証したのは他の社員かも。そう言う能書と共に渡されて待っていた物に違いない。
だから、別に大したものではないと言ったと思います。小夭は私のために一日中海に使って検証したと感激していますが、その勘違いは訂正しないのね。
このように、恋人としても基準に達しない出来の悪い塗山景を何度も捨てようとしますが、一度拾った狐は捨てれない小夭です。
さて、ソウゲンの方ですが、防風一族は叔父達の手駒になっている敵方、と言う認識です。
だから、叔父の息子が催した宴席の帰り、命を狙われて、トドメの最後に防風北が登場したのも納得しています。(この時の防風北はゾクゾクするほど美しく怖い)
妹にも過去に命を狙われて死にかけたしね。
でも、ここで立場的に難しいのは、西炎国は軍事国家で、叔父が使っていると言うことは将来ソウゲンが国王になったら叔父もその配下も協力者も束ねていかねばならないと言う点です。
国王になるまで生き延びなければなりませんが、ソウゲンはその為にも敵も味方にしていかねばならないのです。
弓では並ぶものはない防風一族も、味方にしていかねばならないのです。
だから、命を何度も狙われたのに、表面上は礼儀を尽くして交流を断つわけには行かないと言う事です。
小夭が、自分を狙った防風北と交際しているのを容認しているのも、小夭を使って自分の陣営に入れたいから。
あくまで、従兄弟の兄としての立場でしか物が言えないのも辛いね。それとも小夭に対してまだまだ恋愛感情はそこまで高まっていないのか?
コウレイ国の第一王姫と言う小夭の立場はソウゲンに取っては最大の盾。でも小夭が自分のために命を張るのはもうしないでくれと言うのはとても立派です。
まあ、相柳が空から白馬に乗ってソウゲンを狙った時に射たなかったのは小夭が庇ったからで、ソウゲンだけを射ることも本当はできた筈。
小夭を悲しませたくないから。
相柳の姿の時の方が本質に近いと思いますが、人型でいる時は本来の能力の十分の一とか万分の一ぐらいに制限されているようです。
時々、戦いで傷を負って白い衣服に血が滲んでいたりあちこち出血したりしていますが、深手を負うと身動き出来なくなります。
あの白い衣装コミの人型実態化初号機と言ったところでしょうか。
ブレーカーが落ちて家電が使えなくなる時の感じ?
こう言う時はイタズラし放題で小夭も顔に落書きしたりしましたね。
充電完了したら、また動き出しますから、調子に乗ったら危ない。
怒っても目に力が入るぐらいです。
檀健次が上手いので、目力だけで怒った時の強さも自由自在です。
初号機は感情表現があまりうまくないので、嬉しい時もちょっと口の端や目尻が柔らかくなるぐらい。言葉少なくともその指先、姿勢、身の翻し方、歩く姿など全身で感情を表しています。
ここら辺が、檀健次のダンサーとして最高ランクの実力者の面目躍如なところ。
常に最高の踊りを見ているかのよう。目が離せなくて観客は魂を奪われてしまう。
ここが、他の多くのイケメン俳優達と一線を画すところです。
白相柳から、黒防風北へバージョンアップされた二号機はより高性能となり
思う言葉も巧みに操れるようになって、これなら誘惑できるだろうと全力で落としにかかってきています。
黒鳥が、33回転回り切ってどうよと最後に王子に流し目くれる感じ。
(関係ない話ですが、白鳥の湖と言えば、
私、ソチオリンピックの年にモスクワで白鳥の湖を全幕見た事がありますが、その時のプリマドンナは白鳥も黒鳥も一人で踊り切る凄いバレリーナでした。全幕ほとんど出ずっぱり。後で楽屋で握手してもらいましたが、それは美しい人でこんな可憐な美女のどこにそんな体力があるのかと驚きました。)
相柳では言えなかった、「全てを捨てて二人で放浪の旅に出よう」と小夭を誘います。
ここ、すごく切ないよね。お互い無理な事が分かってても言いたかったんだよね。
少なくとも相柳の今生の生では、小夭の望む幸せは与えれない事を知っているから。
こういう高度な精神体に近い存在は誓いとかに縛られています。小夭に出会う前にもうそう言う縛りがある様です。だから、誰にも縛られない自由な存在の相柳が、敗軍の軍師などをしていると思われます。
軽い遊び人なキャラを演じている黒防風北ですが、何につけても契約や貸し借りとかに結びつけてその存在がいなくなっても小夭が悲しまない様にしているようです。
でも、防風北が相柳だと分かったら、
小夭はやがて一連の全ての相柳のしてきた事が私を捨てる準備なのだ、と悟る事でしょう。
とりあえず、まずは怒りますよね。
バレた時が見ものですね。
賭博場デートに弓の稽古、街中を食べ歩きしたり、普通の女の子が恋人とやってみたい事、全て防風北はやってあげてます。
去られた後、これらの思い出は返って小夭の心を打ち砕くと思うのですが、どうなのでしょう。
楽しみが痛みに喜びが苦しみに、変わってしまうでしょう。
蠱毒を入れた時は小六だったから、相柳は小夭を傷つける事はないと安心してたけど、
小夭が身分を取り戻して女になってすっかり契約内容の前提が違ってしまいました。
二人で放浪の旅に出るのも前は可能な事でも今はもう出来なくなりました。
相柳はこの運命の変化のせいで、これから小夭の為にどれだけの犠牲を払う献身をするのでしょう。
そして、その事が小夭を愛ゆえに苦しめます。
黒バージョンの防風北の登場は、二人の悲恋の始まりでもあります。